インクジェット用光沢紙+PVA+レーザープリンターで自作シルエットパーツ作成

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空猫用の猫シールが手に入らなくなったので、シールの自作を模索してました。

まず試したのは水転写シール
昔から、よれたり破れたりしやすいのと、余白の糊が目に見えるので、あんまり好みじゃないんですよ…
友人からのすすめもあって、百均でないものも試してはみましたが…やはり水を吸収しないレジンに使うには微妙でした。

で、色々調べていて「自作 デカール」「自作 インレタ」というキーワードでヒットしたこちらのサイト。

【模型】 自作インレタ実験室 #3  箔押し文字の取り出し
http://ef58176.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/3-37cc.html

これをやってみました。

注意

この技法は「自分で加工した、非常に定着性の悪いPVA用紙に、レーザープリンターで印刷する」という荒技です。

定着しにくいため、トナーがプリンター(コピー機)の内部に残る可能性が非常に高いです。(この記事の途中でも、なかなか悲惨な状況の写真が出てきます)
PVA用紙は厚みがあってゴワゴワなので、手差し用紙を使用できないコピー機では使用できません。
また、PVA用紙自体はインクジェットプリンタ用紙をベースにしているため、うまく紙送りできない可能性もあります。

これらを踏まえると、コンビニのコピー機など自己責任が取れない機器ではやるべきではありません
モノクロのレーザープリンターなら今は1万以内で購入できますので、必ず壊れても問題ないプリンターでやってください!

材料・道具

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  • インクジェットプリンター用光沢紙
  • PVA(百均の洗濯のりでOK)
  • PVA用紙を吊すためのはさみ 2個
  • レーザープリンター(またはコピー機)
  • UVレジン

PVA用紙を作る

ベースとなる紙にPVAを塗る

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新聞紙などいらないものを敷いてベースとなる紙を置き、PVAを塗ります。
あとで余分なPVAは取り除きますので、PVAを塗っていない部分ができないよう、たっぷり塗るのが重要です。
塗り広げる道具は何でも構いません。
いらない厚紙を使い捨てでも、定規やスクレーバーなど洗って使い回してもOK。
紙を破ったり傷つけたりしないように気をつけます。

「PVAという剥離可能な物をシート上にして、その上にトナーを乗せる」のが目的ですので、ベースになる紙は何でもいい気がします。
私は先述のサイトを参考に、厚みがあるのでインクジェット用光沢紙にしました。
家にあったものを使っているので、なくなれば適当に安い物を購入する予定です。

余分なPVAを落として乾燥させる

台所が汚くてすみません。

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うちの台所は流しの上に水切りラック?が付いているため、フック付きのクリップを使ってPVA用紙を干しました。
立てることで余分なPVAが流れて、表面の気泡やPVAの厚みムラがなくなります。

ノリはそのまま流すと配水管で固まるかも知れませんので、PVA用紙の下に新聞紙などいらない紙を敷いています。
靴下などを干す小さなピンチ付きハンガーがあれば、ベランダで一度に複数枚干せて良いと思います。

PVA用紙を平らにする

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台風で湿度の高い日が続きましたが、3時間せずにカチカチに乾いていました。
乾燥したままだと丸まり方が酷くてプリンターを通せないので、一晩重しを乗せたあと、クセと逆向きに巻いて伸ばしています。

紙の裏からアイロンをかけてもいいかもしれませんが、ちょっとこの実験中はアイロンが使えない状況だったので試していません。

PVA用紙に印刷する

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印刷したい図案はこんな感じに並べました。
猫のシルエット(自分で製作しています)をA4サイズに適当に並べています。

実際にPVA用紙に印刷した物がこちら。
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プリンターのプロパティの設定
1回目(左):厚紙、濃度100(限界まで上げました)
2回目(右):普通紙、濃度0(初期設定)

先の普通紙に印刷した物と比較すると、トナーのムラが出はじめるところから、PVA用紙のトナーが剥がれているか…?気のせい?という印象。

とりあえず今回は実用に耐えるパーツを作れるか否かのテストなので、印刷ミスを減らすのは今後の課題ということで、先に進みます。

なお、PVA用紙に印刷した後はいらない紙2~3枚使ってテストプリントをし、プリンター内部に残ってしまったトナーを回収しておきます。
落ちているトナーの量が多すぎるので「これを怠ると十中八九プリンターが故障する」と思っておく方が良いでしょう。

PVA用紙からトナーを取り出す

そのまま水に浮かべるとどうなるか?

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図柄を1つ切り取って、水に浮かべてみました。

写真2枚目が15分ほど経過したときの写真。
PVAが溶け始め、しっぽの部分が浮いてきていますが…写真左側に、浮いた部分が剥がれて落ちているのがわかります。
また、すでに他の部分のトナーもひび割れ始めています。

写真3枚目は2時間ほど放置した写真。
PVAは完全に溶けており、光沢紙の表面にもPVAは残っていませんでした。
トナーは完全にバラバラになっています。

とりあえず、PVA用紙のPVAを完全に溶かすのは、1時間以上かかるということはわかりました。

UVレジンでトナーがばらけないようにする

私はこのパーツを最終的にUVレジンで使うことが目的なので、UVレジンシートを作る方法でトナーを一緒に固めてしまい、もしPVAシートがレジンに残ったなら洗い流せばいいやと考えました。

図柄にUVレジンをかける

今回は使える部分が少ししかなかったので、レジンの節約のために使える部分だけ切り取っています。
後ほど失敗した写真が出てきますが、切り取ると気泡が入りやすいので、PVA用紙の使える図柄の上にレジンを垂らしてクリアフォルダを乗せるほうが効率的です。

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パーツを並べてクリアフォルダをのせ、図柄が覆える量のレジンをクリアフォルダに流し

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図柄面がレジンに接触するように切り取ったパーツを乗せ、もう一枚のクリアフォルダでサンドします。

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硬化してはがすとこんな状態に。

UVレジンからPVA用紙を剥がす

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ソフトレジンにもなる「レジンプロ」を使用しているため、ハサミで簡単に切り出すことができます。

PVA用紙を薄く剥げば水の浸透が早いかな?と思って剥がしかけたところ、水を使う必要も無くペロっとトナーだけレジンに残して剥がれました。

次の項目でPVAの残り方を確認していますが、とりあえずパーツはこれで無事に完成しました!

PVAが残っていないか確認

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これが、PVA用紙を剥がした直後の写真です。

左のヘソ天猫はキレイに剥がれたので、紙とレジンのどちらにどの程度PVAが残っているのか確認するため、両方とも水に浸けることにしました。

中央のおすまし猫は、気泡が入ってしまうとどうなるかの失敗例になりましたorz
気泡が入った部分はトナーを支持することができずに、丸く抜けています。

右の好奇心猫は、光沢紙の厚みの半分ぐらいで剥いでみたものです。
水転写紙みたいにするほうがいいのか?と疑問だったので、このような状態で水に浸けました。

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へそ天猫とその台紙を10分水に浸けた結果、台紙はぬめりがありましたが、レジン側にPVAのぬめりは感じられませんでした。
ほぼ残っていないと言えるので、気にならなければUVレジンを硬化したらすぐに使用できます。
どうしても気になる人は、数分水に浸けて拭き取ればPVAはなくなります。

好奇心猫のPVAはふちしか溶けていませんでしたが、どこまで溶けているのか確認しようと少し力を加えたところ、簡単にPVA用紙が剥がれてしまいました。
へそ天猫のほうでノリ残りがほぼ無いのを確認しましたので、わざわざ水に浸けて剥がすメリットはないと思われます。

反省・課題

PVAのぬめりが感じられなかったことから、UVレジンに封入した際に、ネイルシールなどのようにノリの縁取りが見えることはなさそうです。
また、全長12mmのへそ天猫がこの精度で取り出せているので、かなり小さなパーツも製作できると思います。
トナーのムラが気になる場合は、封入前にマーカーで塗ってやる、左右反転したものを同時に制作しトナー面を内側にして貼り合わせるなどの工夫が可能かと思います。

テスト前はPVA自体がべとつかないか心配してましたが、ここんとこの湿度でもどんどん乾燥したので、よほどでなければそこは気にする必要なさそうです。

また、カラーレーザーがあるのであれば、フルカラーの素材も制作できそうですね。
ただし、裏打ちの白が家庭用プリンターでは使用できないので、その辺り気をつけねばいけません。

  • 大きい柄は使わないので、トナー消費の少ない小さい柄を、なるべく同じ行列に重ならないように配置したらどうなるか?
  • PVA用紙に水を吹く(水分が増えることでトナーの定着度が増さないか?)→機械にノリが残りそうなので、優先順位低め
  • PVA用紙に再剥離タイプのスプレー糊を吹く→機械にノリが残りそうなので、優先順位低め(水よりは高め)
  • 用紙のサイズや向きを変える(ハガキやA5たてよこで、ドラムに最初に触れる面積が変わるよね)

その後

家庭用カラーレーザー導入したので再挑戦したら、課題部分あっさり解決しましたw